2008年12月22日月曜日

光延先生のインタビュー記事発見!

先日、新幹線に乗車した際に、車内誌「ひととき」に三朝温泉が特集されており、先日教授に就任された光延先生へのインタビュー記事が掲載されていました。



現在、光延先生には次回の芳医会で講演して頂く方向で日程等を調整しています。1月の開催は難しいですが、何とか3月までには講演会を実現させたいと考えています。



日程が具体的に決まりましたら、またご連絡します。mitsunobu0812.pdfをダウンロード



2008年10月13日月曜日

光延文裕先生の教授就任挨拶

岡山大学医学部の同窓会誌に2期の光延文裕先生の教授就任挨拶が掲載されていました。PDFファイルを添付しておきます。



私たちが知らないユニークな医療を実践されていることがわかります。卒業してわかったことですが、芳泉高校はユニークな高校だった。



そのユニークな高校の卒業生だから、光延先生は閉塞した医療、特に地域医療、高齢者医療に何らかの解決策を示していただけると思います。



挨拶文を拝見して、個人的には芳医会で光延先生のお話を伺えたらと思いました。運営委員会に提案したいと思います。



mitunobu.pdfをダウンロード



2008年10月4日土曜日

県民公開講座(糖尿病)のお知らせ

県民公開講座のお知らせ



10月5日(日) 午後1時30分~4時30分



岡山衛生会館 三木記念ホール



特別講演 午後1時40分~2時40分
 「病は気からは科学的に解明できる」
  浜松医大名誉教授 高田明和先生



シンポジウム 糖尿病をよく知って長生きしよう 午後2時50分~4時30分
(1) 糖尿病の新しい知識 岡山大学 四方賢一
(2) 糖尿病網膜症とのつきあい方 岡山日赤眼科 中山 正
(3) 糖尿病でも元気で長生きを 岡山済生会病院 糖尿病センター 中塔辰明



2008年9月7日日曜日

岡部和倫先生、 ハーバード大学で講演

2期生の岡部和倫先生が ハーバード大学から招待されて、「SCIENCE OF THORACIC SURGERY」という会(10月3~4日、ボストン)で、胸膜中皮腫についてお話しされることになりました。



プログラムを添付しておきます。okabe.pdfをダウンロード



総説を読んでも、海外の研究者は大学や個人名でなく内容で文献を幅広く検索しているのに感心しますが、今回も渋い人選をしているなと感心しています。岡部先生、頑張ってきてくださいね。応援しています。



第2回岡山県肝炎医療従事者研修会「日常臨床における肝画像診断の基本と応用」

4期の則安先生が主導的立場で関わられている岡山県の肝炎対策事業の一環として第2回岡山県肝炎医療従事者研修会が2008年09月21日(日) 13:00~15:30に岡山コンベンションセンターで開催されます。



http://www.okayama.med.or.jp/lle/app/kouza?&MODE=detail&id=2550



今回は「日常臨床における肝画像診断の基本と応用」がテーマで、少人数グループに分かれての腹部エコー実地指導に3期の池田先生が指導者として参加されます。



超音波が初心者の先生も対象としていますので、ご興味のある方はご参加下さい。 



福田襄之介先生の講演記録

先日、ブログで紹介した福田襄之介先生の講演記録ですが、芳泉高校の承諾を得て、雑誌芳泉に掲載された文章すべてを公開できることとなりました。ご一読いただければ幸いです。



fukuda.pdfをダウンロード



福田襄之介先生略歴



大正4年6月、岡山市大安寺中町に生まれる。大野小、岡山一中、六高を経て、昭和19年東京大学文学部卒。昭和19年東大副手、21年岡山一中教諭、24年岡山大学法文学部講師、助教授、教授を経て46年法文学部長に就任。



中国文学専攻で、特に「中国字書史の研究」で前人未踏の分野を開拓して文学博士となる。





2008年9月1日月曜日

私の人生観(福田襄之介先生講演)の要約を載せます 

1976.11.9に岡山芳泉高校創立4周年記念として企画された講演「私の人生観(岡山大学教授 福田襄之介先生)」の要約を掲載します。



肝臓医者にとっては劇症肝炎の名付け親である福田先生の講演は特別な思いがありますが、この内容は現在、医師となっている芳医会会員全員にとって非常に重い内容と思いました。少なくとも私にとっては医学知識、技術の習得に重きを置いてきただけに、学術の中の「術」のみ磨いていたことを知って衝撃を受けました。



私にとっては高校卒業後30年目にこのような文章にめぐり会えたことは非常に幸運なことであるとともに今の時期こそ、高校時代に理解できなかったことを再勉強してしっかりと身に付け、後半生では福田先生が希望されているように、自分の適応性をフルに発揮して、社会のために尽くし、この世に生まれた価値があった生き方をしたいものです。



私の人生観 岡山大学教授 福田襄之介 (1976.11.9)

私の人生観 岡山大学教授 福田襄之介 
岡山芳泉高校創立4周年記念講演 1976.11.9



頭が悪くても諦めてはいけない。どこかいいところがあるんです。
どこかいいところを伸ばすというように気をつけることが、適応性を見いだしていくことの方法かと思うわけです。



勉強というのは何のためにやるのかというと、二つの目的があるとあると思うんですね。それを、私、学術という言葉で説明したいと思うんです。
「学」というのは人間形成、「術」というのは専門の学問。こういうように解釈するといいと思いますね。
で、日本の大学生は、人間形成の基礎になるところの「学」というものについて、おろそかにしとる訳でございます。
法律学であるとか、経済学であるとか、医学であるとか、こういうのはある専門の学問であって、むしろ「術」に属するんでございますね。テクニックっていいますのが「術」なんでございますね。
で、「術」ばかりに走ったんでは、スケールの大きな人間になれません。その根底には、「学」という人間を形成しているものがなけりゃいけない。
広く何にでも渡っていろいろなことを学ぶ、そして知識を豊富にすることが、修養、修身という身を修める人間形成の根幹になるということです。そうなりますと人間は物事に対する判断が誤らなくなるんです。
格物致知で、物事の知識を豊富にしておかなければいけない。皆さん方は、普通科の高校で何をやっとるかというと、人間形成をやっとる訳でございます。それから大学へ入って教養部でもう一度高校までの格物致知をまとめて、そこで大きなスケールの人間形成をやって、その上で専門の教育をやるわけでございます。



それから専門の知識を身につけるのに、私は最初に申しましたその人の適応性ということを十分考えて、専門の方に進まなければいけない。
人間の能力というものは、簡単には決めがたい。
そういう自分の適応性の検討というものは、人生にとって非常に大切なことでございます。慎重にやって欲しいものです。
しかしごく簡単に言うならば「好きこそものの上手なれ」です。
適応性というのは簡単に言うならば、好きな方向へ行くことであります。



皆さんに限界まで努力して欲しい。その方法を私の経験から言いますと、習ったことに疑問点をなくしておくことですね。それから、なるべく宙で覚えておくことですね。平生、暇さえあれば覚えておくことですね。
工夫して、理解して、疑問点をなくして、宙でおぼえていくこと学習効果を向上さすことです。



義侠心は学校の成績には出ませんが、こういうものも人生を渡っていくのに大切なことですね。



どうか皆さんには「学術」の成った人になるようにしていただきたい、「学術」成った上に大切なのは「健康」なんですね。
皆さんも精神の錬磨、身体の錬磨ということをいつも考えてなければいけませんね、それから、バランスある栄養を取らんといけませんね。



自分の適応性をフルに発揮して、社会のために尽くし、さらには世界平和に貢献できたら、この世に生まれた価値があったというものです。



格物致知の語源
大学第一章第三節
二 古之欲明明徳於天下者、先治其国、欲治其国者、先斉其家、欲斉其家者、先脩其身、欲脩其身者、先正其心、欲正其心者、先誠其意、欲誠其意者、先致其知、致知在格物、物格而后知至、知至而后意誠、意誠而后心正、心正而后身脩、身脩而后家斉、家斉而后国治、国治而后天下平、
『古の明徳を天下に明らかにせんと欲する者は、先ずその国を治む。その国を治めんと欲する者は、先ずその家を斉う。その家を斉えんと欲する者は、まずその身を修む。その身を修めんと欲する者は、まずその心を正す。その心を正さんと欲する者は、先ずその意を誠にす。その意を誠にせんと欲する者は、まずその知を致す。知を致すは物に格るにあり。
物格りて后に知至る。知至りて后に意誠なり。意誠にして后に心正し。心正しくして后に身修まる。身修まりて后に家斉う。家斉いて后に国治まる。国治まりて后に天下平なり。』



2008年8月30日土曜日

恩師の系図

二宗先生の奥様にいただいた30年前の雑誌「芳泉」を読んでいます。
自分が在校していた頃の高校で行われた行事が色々とわかりましたが、その中で岡山大文学部の教授であった福田襄之介先生の特別講演に目がとまりました。福田先生は当時の大原利貞校長の旧制高校、大学の同級生で、その縁で我が校で講演をして下さったのでした。



この雑誌を読むまでの福田先生の記憶は、大学の教養過程で漢詩を習ったことが最も古い記憶でした。
その後、私は肝臓医者になりましたが、教室の小坂淳夫名誉教授が福田先生と旧制高校の同級生で劇症肝炎を命名するときに福田先生に相談した逸話を聞いた時には何か因縁めいたものを感じていましたが、まさか高校時代に福田先生の講演を拝聴していたとは夢にも思いませんでした。



雑誌には講演の一部が収録されていますが、確かに高校生には実感がわかない難しい話です。
30年経った今になって、今までの経験から共感を持って読むことができます。
こうしてみると、高校卒業後30年というのは高校時代に習ったことをそれまでの人生にオーバーラップさせて復習するのに絶好の機会のように思えてきました。



講演の内容については後日紹介したいと思います。



それにしても高校、大学、社会人の恩師がすべて同じ旧制高校の同級生だったとは。不思議な因縁を感じると共に、恩師の先生の言葉を読み返して人生の糧にしたいと思いました。



2008年8月28日木曜日

短歌を作ることの効用

3期生の同窓会に参加した際、3年の担任で16年前に亡くなられた二宗先生の思い出話となり、先生の霊前に同窓会の報告をしようと8/27にご自宅に伺いました。



奥様はお元気で、深夜まで長話をしました。今年は17回忌にあたり、先生の高校時代の思い出の品も少しずつ整理していきたいと話され、私たちを担任していただいた3年間に作成した短歌集3冊と当時発行されていた雑誌「芳泉」を形見分けとしていただいてきました。



1年生の歌集の冒頭には当時の大原利貞校長が序文を寄せています。



詩歌は散文に比して、歴史的に、また洋の東西にわたって高い地位に置かれた。
思うことを文にするのは容易ではないが、韻律に乗せて表現し、さらに言外に余韻を感ずるような詩歌を作るには、それぞれの国の「ことば」についての感覚や教養がなければ不可能である。
文を作るにも、彫心鏤骨の苦しみがあるが、詩歌に表現するには、それ以上の労をともなうものである。



同級生の短歌を読んでみると、そのみずみずしい感性に驚きを覚えます。
この感受性の強さこそ芳泉高校、ひいては日本の強みの源泉であったように思われます。
大原校長も指摘していますが、文章を書くよりも詩を作る方が数倍難しいものです。そしてその訓練を3年間行うことによって、単なる国語力だけでなく物を見る目が何倍も鋭くなったように思われます。



私の短歌は今読み返すと同級生の中では平均点以下の出来ではありますが、こういった訓練は今の仕事の中でも生きているように思います。



ちょうしん-るこつ 【彫心鏤骨】
心に彫りつけ骨に刻み込む意で、非常に苦心して詩文などを作り上げること。また、単にたいへんな苦労をすること。▽「彫心」は心に刻み込む意。「鏤骨」は骨に刻みつける意。大きな苦労のたとえ。「鏤」は「ろう」とも読む。「心こころに彫ほり骨ほねに鏤きざむ」と訓読する。



2008年8月18日月曜日

芳泉高校同窓会総会で支部活動報告をしてきました

8月16日にルネスホールで同窓会総会が開催され、支部会の活動報告をしてきました。



昨年度は9月、1月に講演会を開いたこと、6月に2期生の光延先生が芳泉高校出身者で初めて教授に就任されたことを報告してきました。



今回の総会は3期生の同窓会と合同でしたが、大変盛り上がっていました。会の詳細は以下のブログをご参照下さい。



http://hosen03.blog103.fc2.com/







2008年7月26日土曜日

芳泉高校同窓会全体理事会に出席してきました

7月25日に芳泉高校同窓会全体理事会が開催され、芳医会の活動報告をしてきました。



現在、同窓会は現役学生との交流をもっと増やす構想を持っており、専門職の集まった支部会には仕事についての講演を依頼したいとのことでした。



岡山在住の先生には講演会の協力をお願いすることがあるかもしれませんが、その節にはよろしくお願い申し上げます。



2008年7月14日月曜日

芳泉高校同窓会のお知らせ

8月16日(土曜日)に芳泉高校同窓会が開かれます。今年は3期生の同窓会も合同で行う予定です。当日は数学の小林先生による授業再現や、有志による音楽演奏で文化祭の再現を行う企画が予定されています。当日飛び入り参加も可能ですので、ふるってご参加下さい。



日時:8月16日(土曜日) 午後5時から 総会、 午後6時から 懇親会



場所:ルネスホール(岡山市内山下1-6-20  Tel 086-225-3003)



http://www.renaiss.or.jp/contents/index.php





2期の光延先生が岡山大学の教授に就任されました

2期の光延先生が6月1日をもって岡山大学病院三朝医療センターの長寿社会医学講座老年医学の教授に就任されました。



三朝医療センターは鳥取の三朝温泉近くにある施設で温泉を利用した治療の研究などを行っており、ユニークな施設です。近くには投入堂で有名な三仏寺もあります。



http://www.okayama-u.ac.jp/user/misasa/gaiyou.htm



http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%95%E5%85%A5%E5%A0%82



光延先生の益々のご活躍を期待したいと思います。



2008年6月27日金曜日

3期の藤原先生の講演会に行って来ました

先日、ブログで紹介した3期の藤原先生の講演会が、6月26日に岡山大学で開かれたので行ってきました。


新しいがんの分子標的医薬品開発の試み
     ~国産ウイルス製剤の米国での臨床試験への道程~

岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科消化器・腫瘍外科学
遺伝子・細胞治療センター 准教授  藤原 俊義


内容は先日、新聞で報道されたTelomelysinに加え、p53遺伝子治療薬であるAdvexinの2つの遺伝子治療薬の話でした。

Advexinは1999年から非小細胞肺癌に対する第Ⅰ相試験が始まりましたが、試験が開始されるまでの苦労話を伺い、日本で新しいことを始める難しさを再認識するとともに、それをクリアしていった藤原先生の努力には頭が下がる思いでした。
http://www.cgct.jp/projects/03.html
Advexinは米国で臨床研究が進んでおり、頭頚部癌のオーファン・ドラッグとしてFDAに申請中とのことです。10年以上の努力が「遺伝子治療薬の市販」という形で報われることを祈っています。

もう一つのTelomelysinはがん細胞を不死化させるテロメラーゼががん細胞で高率に発現することを利用して、癌細胞内で選択的に増殖してがん細胞を破壊する腫瘍溶解ウイルスです。
http://www.cgct.jp/projects/09.html
こちらの臨床治験はAdvexinの経験が活かされて、ベンチャー企業を立ち上げて米国を中心として進行中との話でした。2006年8月にFDAから第Ⅰ相の認可が下りて、現時点であと4例で第Ⅰ相は終了するとのことで、日米の新薬開発のスピードの差を再認識させられました。
私が専門とする肝癌についても台湾の企業が開発に乗り出しており、中国の症例の多さを考えると早い時期に治療応用が可能になるかもしれないと思いました。

またTelomelysinに蛍光色素を付けることで診断薬に応用したテロメスキャンの話も転移の早期発見に役立つ可能性が高く興味深いものでした。
http://www.cgct.jp/projects/10.html

全体の話から、これからの大学での臨床研究の新しい流れを知ることができましたが、企業も含めた多くの人間が関わるプロジェクトになり、それを統括する医師にはマネジメント能力も要求されることがよくわかりました。

今回の講演内容も興味深かったですが、マネジメント能力をいかに身に付けたのか、機会があれば芳医会の講演会で伺いたいと思いました。

2008年6月16日月曜日

3期の藤原先生のお仕事が山陽新聞で紹介されました

3期の藤原先生(岡山大病院遺伝子・細胞治療センター)のお仕事が山陽新聞で紹介されました。



http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2008/05/30/2008053000583775001.html



がん細胞だけを死滅させるウイルス「テロメライシン」を使った米国での臨床試験で、末期がん患者の腫瘍が最大で34%縮小したとのことです。



来年には食道がんに対し、放射線や抗がん剤を併用して効果を確認する臨床試験に着手する予定とのことで、癌で困っている患者さんの朗報になればと期待しています。





2008年6月13日金曜日

4期の則安先生の講演会案内(岡山県の肝炎対策)

6月20日に4期の則安先生の講演会「岡山県の肝炎対策」がホテルグランヴィア岡山で開かれます。



今年4月からはウイルス肝炎に対するインターフェロン療法の医療費補助事業も始まっており、ウイルス肝炎についての関心が高まっています。



先日の肝臓学会でもウイルス肝炎、特にC型肝炎については新知見が多く発表されており、タイミングの良い時期の講演になると思います。



興味のある先生方は是非ご参加下さい。080620





2008年6月11日水曜日

3期の武智先生に会ってきました

先週、肝臓学会で松山を訪れた際に、同地で開業されている武智先生と約30年ぶりに再会しました。



奥様と透析医院を開業されており、多忙の日々を送られていますが、大変お元気で特にブログは充実したものになっています。再会した日の晩のことが写真入りで詳しく紹介されており私としては少々赤面モノですが、一度覗いてみてあげて下さい。



http://ulalaulala.jugem.jp/



2008年6月9日月曜日

肝臓学会(松山)に参加して

6月5日~6月6日にかけて松山で第44回日本肝臓学会が開催され、参加してきました。



C型肝炎、肝硬変、自己免疫性肝疾患、薬物性肝障害のセッションを聞いて来ました。



C型肝炎のセッションでは、現在、標準治療となっているペグインターフェロン+リバビリン併用療法について、ウイルス量の反応で72週にすべき症例の選択がかなり正確に行えるようになったこと、新規の抗ウイルス剤であるプロテアーゼ阻害剤・telaprevir (VX-950)の本格的な治験が今秋から開始になること、 高脂血症治療薬であるフルバスタチンの併用療法でウイルス消失率が上がってくることなどが報告されていました。



肝硬変については、脂肪性肝炎の症例が増加していることが注目され、肝癌合併例の1.6%、非合併例の2.7%が脂肪性肝炎であることがわかりました。



自己免疫性肝炎のセッションでは高齢者、男性、急性肝炎発症例といった非典型例が案外多く、薬物性肝障害との鑑別が難しい症例もあることが報告されていました。



薬物性肝障害のセッションでは最近10年を前後期に分けると、市販薬の頻度が高くなってきたこと(8.1%→10.9%)、アレルギー性機序を疑わせる好酸球陽性率が低下していること(31→24%)、症状を伴わない症例が増加していることがあげられていました。また、従来から診断に重要視されているリンパ球幼弱化試験の陽性率は36%であることがわかりました。



2008年5月4日日曜日

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代」

城繁幸氏の新刊「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代」を読みました。
城氏の著作は日本的成果主義の問題点を鋭く描いた 「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」、日本の年功序列制度の行き詰まりと若者の正規雇用の喪失の関係を明らかにした「若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来」に続いて3冊目を読んだことになります。



本書の中で特に印象に残ったのは、高校生における理系志望校の変化です。 東大、京大、早慶といった一流校全体への進学熱が下がって、代わって彼らが目指すようになったのが医学部で、地方国立大の医学部などは、既に偏差値で東大理工系を上回るケースも珍しくない、とのことです。
城氏は 「大企業はこの先割に合わないだろう、という事実を予想し、子供により良いレールを求めた結果、企業から医業へとシフトしているのだろう。 「おそらく金持ちになれそうだ。」というたった一つの理由のために、その他すべての可能性を捨ててしまうようでは、昭和的価値観と何ら変わらないのだ。医者というのはけして片手間にできるような仕事ではない。切った張ったが好きでない人間にとっては、けして幸福とは言えないはずだ。」と述べています。



これは身につまされる文章です。最近は患者のクレームで簡単にポキンと折れたり、肉体的にハードな外科系を志望しない若手医師が増えていますが、こういった背景があることを知りませんでした。自分自身の将来像を持っていない若手医師も多く、こういった若手に多様な生き方を示して目標と希望を持って仕事に励むことができる環境作りに力を入れたいと思います。



 



2008年4月20日日曜日

HHV-6が慢性疲労症候群やうつ病に関連

4月17日~18日に開かれた日本感染症学会の教育講演15で東京慈恵医大ウイルス学の近藤一博先生が「ヘルペスウイルスの潜伏感染と慢性疾患」と題する講演をされ、その中で、HHV-6というウイルスが慢性疲労症候群やうつ病と関連している成績を示されました。



HHV-6はマクロファージや脳のグリア細胞に持続感染しているため、再活性化すると免疫異常や精神神経障碍をおこす可能性があること、再活性化を示唆する抗体が慢性疲労症候群でうつがある症例、うつ病、躁うつ病で健常人より高い陽性率であること、再活性化は仕事による生理的な疲労でも起こりうることを示されました。
こういう成績を見ると、無理のし過ぎは良くないと思われました。
詳しい内容がネット上に公開されています。興味のある方は下記HPをご覧下さい。



http://www.jst.go.jp/shincho/db/seika/2005_s/2005_s_3/2005_s_3_hiroukan/2005_s_3_hiroukan_1_1_4.htm



2008年4月11日金曜日

1期生の田淵さんのHPを見て②

田淵さんのHPで目を引いたのが、ドバイ観光記事でした。



休み期間に、アラブ首長国連邦のドバイとアブダビと中国の特別行政区の香港とマカオを訪問した。ドバイとマカオは建築ラッシュで、特にドバイはワッと驚くようなすごい建築が立ち並んでいた。



ドバイの超高層ビル群や香港のフィナンシャルビルにも、びっくりしたが、一番凄いと思ったのは、アブダビに建設中のシェイクザイードモスクであった。一点の隈もない白い大理石に、きれいな石がアラビア風に象嵌されていた。内部の飾りもすばらしいものであった。



ドバイに関連した医療の話題としてはメディカルツーリズムに力を入れていることです。



Medical Tourism Dubai - Healthcare Tourism Dubai
http://www.recoverdiscover.com/medical-tourism-dubai.php



メディカル・ツーリズムとは、治療や手術を受けるために他国に旅行することをいい、医療と観光という高い技術力とホスピタリティとを組み合わせた複合サービス産業です。
アメリカではメディカル・ツーリズム市場が毎年30%成長しており、2010年までに400億ドル市場になると言われています。 メディカル・ツーリズムでのアメリカ人の行き先はインド、タイ、ドバイが多く、シンガポールでも整備が進められています。
http://muratainc.com/review/y2008/vol113.html



こういった文章を読むと、医療費抑制で、診療が萎縮傾向にある日本とは対極にある医療のように思えます。そのうちに技術を持ちながら、抑制だらけで閉塞感を強く持った日本の医師達が海外、特に東南アジアのメディカルツーリズムの担い手として流出する時代が来るかもしれません。



2008年4月6日日曜日

1期生の田淵さんのHPを見て①

拡大内視鏡について調べることがあり、Googleで検索すると1期生の田淵さんのHPが目にとまりました。  http://www2u.biglobe.ne.jp/~a000/



HPにはご自身が医師になる課程で体験された病気の経験から導き出された医師のあるべき姿や世界で今おこっていることなどが書かれており、知的好奇心が刺激されました。
何回かに分けて感想を述べていきたいと思います。



医師の原点について田淵さんは以下のように記載されています。病気を体験した医師ほど患者さんの立場にたって考えられる医師はいないと思いますし、仕事に対する思い入れも人一倍であることが多いように思います。また、思い入れが強い分、少々の困難があってもそれを乗り越えることができるように思います。私自身は、大病を患ったことはありませんが、父親の大病が自分の現在の専門分野になっており、多少田淵さんの生き方に似ているように思います。自分の原点を見直すいい機会を与えてくれたと思います。



大学のとき、私自身が難病を患い、特定疾患患者となって、病気の怖さ・切なさを嫌というほど味わい、病気を治す、患者を治すという医師の使命の大切さを、心の底から実感した。だから、自らの専門を決めるとき、迷いは一切なく、自分の病気を専門とした。



下記の文章にも共感を覚えます。私が専門にしている肝臓癌も20年前には5年生存を目標にしていましたが、今は10年生存が目標となり、さらには発癌予防も可能になってきています。ただ、ここまで来るまでには多くの患者さんの死がありましたし、いまだに不条理な死を迎えないと行けない患者さんがいることも事実です。少しでもいい医療を提供できるよう日々切磋琢磨することが医師の使命であり、その積み重ねが気がついたら予後を改善していたことにつながると思います。



医師国家試験に合格して臨床に入ってみると、私の病状などとは比べものにならない、悲惨な患者さんが多数いた。治らない病気も数多く、効果的な治療法がなく、死んでいく人々の山であった。治療法があって克服された病気と、そうでなく克服されていない病気、その差は歴然としていた。川におぼれて死のふちへと流されていく人々を救うには、方法があれば、どんなに費用がかかろうとも、救うというのが、24年前の常識であった。「人の命は地球より重い」当時の閣僚の言葉である。



2008年3月16日日曜日

医療崩壊の責任者は?

日経メディカル・オンラインに本田宏先生の「勤務医よ、闘え!」のブログがありますが、3月13日付けの「医療崩壊はメディアの責任か?」は興味深い内容でした。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/honda/200803/505722.html



本田氏はNPO法人ささえあい医療人権センターCOML(Consumer Organization for Medicine & Law、医療と法の消費者組織)のデータを引用して、日経・朝日・毎日・読売の4紙で『医療事故』をキーワードに検索した記事件数とCOMLの相談件数の推移は見事なまでに一致すること、医師・医療バッシング一辺倒だったメディアの報道が、2007年初ごろから少しずつ、医療崩壊の根底にある医師不足や低医療費についても扱うように変化してきたと感じていると述べられています。
もし医療事故報道が増加する前、あるいは増加しはじめた直後に、医療者が国民に「医療にも不確実性と限界がある」「日本の医療現場は、極端な低医療費とマンパワー不足のために事故が起きやすくなってしまっている」と分かりやすく説明し、国民も理解してくれたならば、ここまで医療崩壊や立ち去り型サボタージュが深刻にならなかったのではないか…と嘆かれておられます。 一方で、医療崩壊がこれだけ叫ばれるようになった今になっても、国会は道路特定財源の議論一色になっていることに危機感を持たれ、もっと国全体が、医療崩壊を阻止するために医療のあり方を真剣に考えよう、という流れになるように、医療者が一致団結して説明責任を果たすべきと結んでおられます。



結局、医療崩壊の引き金を引いたマスコミですが、炎上させたのはこの問題に無関心であった医師や政府側であったとも言えます。4月からの診療報酬の改訂の説明を聞いても、スポーツのルールがころころ変わるような印象を受け医師、特に開業医は日常診療に汲々とする傾向がさらに強まって、結果的に国民への啓蒙活動などやる暇がないのではと危惧します。



2008年2月29日金曜日

メタボ特定健診とメンタルヘルス

2008.2.20に「産業保健と医療制度改革の展望」(講師:岡山大学、衛生学・予防医学教授、土居弘幸先生)」を聞いてきました。



今年4月から始まるメタボリック症候群に対する「特定健診・特定保健指導」と、会社における「メンタルヘルス」の2つの話題が特に興味深かったです。自分なりにまとめた資料も添付しておきます。興味のある方はご覧下さい。



メタボリック症候群に対する「特定健診・特定保健指導」の制度の概要についてはレスの方で解説しますが、今回の講演で興味深かったのは、疾病の統計ではハイリスク群の発病率が問題にされがちだが、実際には母集団に発病率をかけた実患者数の方が医療費全体へのインパクトは大きく、医療費抑制を本気で考えるなら、集団全体に介入するポピュレーション・アプローチ(税制や法規制)の方がはるかに有効であるということです。塾長がよく言われる広い視野から事例を眺めてみる実例の一つと思いましたが、一見健康に見える人への介入は現在の医療制度のみでは限界があり、ITを利用した健康増進プログラムを考える必要があると思いました。
また、「特定健診・特定保健指導」の制度の詳細を聞くと、実際にはメタボの管理を保険者に丸投げした上に(対象者になぜか配偶者も含まれています)、達成困難な目標(メタボの該当者と予備軍の10%減少)を掲げて、目標達成が出来ないときは後期高齢者制度への支援金(拠出金)をペナルティにするなど、医療費削減のための巧妙な罠のような印象も受けました。



次に「メンタルヘルス」ですが、「安全配慮義務」の概念が詳しく説明されました。安全配慮義務とは事業者は労働者を安全に労働させるという、民事上の義務ですが、
事業者は予見しうるのであれば、何らかの対策を講じる義務がある、と解釈されているようです。それ故に過労自殺などの民事訴訟では、長時間労働を知りながら安全配慮のための具体的な措置を行わなかったという安全配慮義務の不履行について、遺族が 事業者を訴えている事例が増加し、遺族が勝訴した過労自殺の民事訴訟では1億円以上の損害賠償金の支払いが事業者に命じられていることが報告されていました。



これら2つのことは一般企業にとっても新たな負担を強いられるものであり、十分に研究を行って対策を講じなおかないと企業にとって大きなリスクになることがわかりました。







2008年2月17日日曜日

メタボリック症候群に対する「特定健診・特定保健指導」

今年4月から始まるメタボリック症候群に対する「特定健診・特定保健指導」について、4期の則安先生が講演されました。



「メタボ健診」については知らないことが多く、勉強になりました。



講演を聞いて感じたことは、医療サイドのみの介入では不十分で、社会全体で取り組まないとメタボ患者の減少は実現できないということです。



ただ、メタボの患者が減らなければ後期高齢者制度への支援金が増えるカラクリになっており、厚労省の役人の頭の良さに驚きました。







同じような内容が【日経メディカル2月号特集「疑問解消!メタボ健診Q&A」連動特集Vol.1】にも述べられています。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200802/505483.html



以下に抜粋を示します。







 2008年4月1日からメタボリックシンドローム(以下、メタボ症候群)に焦点を当てた「特定健診・特定保健指導」という新しい健診制度がスタートする。「医療費適正化計画」の一環として、医療費の2兆円削減をうたう新事業だ。
 対象は40~74歳の国民5600万人。これほどの規模の事業にもかかわらず、その具体像は本来の受益者である国民はもちろん、実働部隊となる医療関係者にも十分に伝わっていない。



 メタボ健診の実施者は、市町村ではなく、国民健康保険、被用者保険(組合健保、政管健保)などの保険者になる。対象は、40~74歳の被保険者と被扶養者。なお、75歳以上の国民は「後期高齢者医療制度」という新たな医療保険制度に加入することになり、各都道府県の広域医療連合が実施する住民健診を、引き続き受けることになる。



 メタボ健診では、健診を実施し、階層化(特定保健指導対象者の選定)を行った後、保健指導の対象となった受診者に、保健指導の開始を通知する。このうち、医師が関与するのは、健診と保健指導だけで、保健指導が必要な人は保険者が選定する。
 評価されるのは保険者で、5年後の2012年度までに、特定健診の受診率70%、特定保健指導の実施率45%、さらにメタボ症候群の該当者と予備軍の10%減少が、目標値(参酌標準)とされた。そして、この目標を達成できなかった保険者は、後期高齢者制度への支援金(拠出金)に10%程度のペナルティを加算されることになった。

 4月を目前にしながら、メタボ健診の体制は十分に整っていない。まず、健診受診者に渡す受診券の発行が7月ころにずれ込みそうだ。これに伴って、10月ころまでに完了させる予定だった08年度の健診が、来年3月の年度末まで実施期間が延長される見込み。その結果、実施費用の請求が09年度にまたがるという、事務的な混乱が予想されている。保健指導を実施する人材不足も指摘されている。さらに、健診データは厚労省が定める電子的標準フォーマットにして提出することになっているが、その入力ソフトに多くのバグ(欠陥)が見付かり、当面は紙ベースでのデータ処理となる。







2008年2月16日土曜日

小松秀樹「医療崩壊」に対する慧眼

本ブログでも小松秀樹氏の医療に対する意見を紹介してきましたが、最近、小松氏の「医療崩壊」に対して深層をえぐるような感想が書かれ、そして解決法といえるか、行き着く先についての冷静な分析が書かれているブログを発見しました。



http://d.hatena.ne.jp/jmiyaza/20070117/1168961863



全文は非常に長いので、気になったところだけ抜粋します。それにしても、これが同じ医師かと思うほど、深い分析で完全に脱帽しました。文中に出てくる山本七平は、私も最近興味を持っており、本ブログでも紹介していきたいと思います。



 山口氏は、「それが起こったか、起こらなかったかというのは大きな問題ではない。仮に起こったとしても別にどうということではない」という乾いた姿勢が大事なのだという。だが、おそらく、こういうことがおきるのは湿った日本に限ったことではなく、フランスでもアメリカでもおこるのであり、人間の根っこの部分にひそむ何かがそういうものを起こさせているのである。たまたま現在の日本の医療はそういう強い風の中にいるということであろうが、その風向きが、医療の本質を啓蒙したり、科学的な理解を普及させたりすることで変るとは思えない。新たなマス・ヒステリーの対象が見つけられることにより、風が別の方向へ去っていることがいずれおきるというだけであろう。



 山本七平氏の「「空気」の研究」(山本七平ライブラリー① 文藝春秋 1997年)に、山本氏が、日本の道徳とは「現に自分が行なっていることの規範を言葉にすることを禁じており、それを口にすれば、たとえそれが事実でも、“口にしたということが不道徳行為”と見なされる。したがってそれを絶対に口にしてはいけない」というものである」というと、それをきいたある雑誌記者が「そんなことを言ったら大変なことになります」という場面がある。



 山本氏がよく例にあげるのが戦艦大和の出撃である。だれがどう考えてもそれは暴挙であり、愚挙であった。当事者たちが何よりもよくそれを知っていた。理性による判断ではそういう結論に当然なるしかない。しかし、その最高責任者は、後にいっている。「戦後、本作戦の無謀を難詰する世論や史家の論評に対しては、私は当時ああせざるを得なかったと答うる以上に弁疏しようと思わない。」 たぶん、不二家の責任者もそういうのであろうと思う。あとから思うと異常なことがその渦中においては当然と思われることはしばしばあるのである。



 日本は「空気」の支配する国であり、それに対抗する手段は「水をさす」ことしかないと山本氏はいう。山本氏は、ある時期、公害問題についてはまったく理性的な科学的な議論はできなかったという。カドミウムによるとされているイタイタイ病は実際にはそうではないのだという論は根強くあるらしいが、そういう議論は一切できない時期があったらしい。イタイイタイ病患者の悲惨な病状がすべてであり、その患者さんたち救済に有効に働くものは善、それを阻害するものは悪という「空気」ができているところでは、科学的議論、理性的な議論などは一顧だにされないのである。



 今、医療ミスのために悲惨な状態になっている患者さんが目の前にいるとすれば、医療の限界・人間の能力の限界からいってそういう事態はある確率の上で避けれられない、などという議論が通用することは期待できないとわたくしは思っている。その患者さんの救済に役立つことが善、それを阻害することは悪なのであって、それが「空気」である。それに水をさせるものは何か? それがわたくしは「医療崩壊」なのではないかと思っている。医療がある程度、本当に崩壊しないと、現在の医療を取巻いている「空気」はなかなか変らないのではないかと思っている。



2008年1月7日月曜日

第6回の芳医会を開催しました

昨日(1/5)、第6回の芳医会を開催しました。
急病などで欠席された先生もありましたが、14名の同窓生が集まり、岡山大学総合患者支援センター副センター長、岡田宏基先生による講演「心身医学の考え方と心身疾患への対応の仕方」を拝聴しました。
心身症は関節リウマチといった膠原病でもみられることや、気の持ちようで癌の予後がかなり変わってくるevidenceが紹介され、臨床医も心療内科的アプローチが必要であることを痛感しました。
講演会終了後も話に花が咲き、二次会にも10名が参加して旧交を温めました。





2008年1月2日水曜日

「ザビエルの見た日本」にメタボ対策のヒントあり

あけましておめでとうございます。今年も芳医会活動でお世話になります。



正月休みに忙しくて読めていなかったメディカル・トリビューンを読んでいましたら、新日本製鐵人事・労政部主任医長、金山知新先生の面白いコラムが載っていましたので一部を紹介します。メタボ対策のヒントになると思いますので、お暇な時にご一読をお薦めします。



〈参考文献〉ピーター・ミルワード (松本たま訳):ザビエルの見た日本,講談社学術文庫



 ザビエルはローマのイエズス会にこう書き送っている。
 「ほかの国では食物が十分にあります。そのため倹約せず,節度を守らず,その結果霊魂にも肉体にも少なからず害が及びます。ところが,ここにはおいしいものは何もないのです。いくら食べたいと思っても肉体を満足させるものは全然ありません。このように大抵の者は節約しているので健康ですし,それに老人がたくさん目につきます」



 本書の著者で,イエズス会神父,元上智大学教授のPeter Milward氏は「ザビエルは当時の日本人が粗末なものを食べ,長い冬の寒さをじっとこらえているにもかかわらず質素な暮らしをしているおかげで健康に恵まれていたと言う。終戦後に私が(英国から)日本に来た当時は,栄養失調のために結核が流行していたが,そのうち日本人の生活水準が上がってぜいたくになると,健康は目に見えて衰えていき,病院は増え,ますます混雑するようになった。ところで通院する患者の大半は実は病気ではなく,いわゆる心身症で,つまり気病みにすぎない。現代の生活から来るストレスが原因ならいくら薬を飲んでも病気は治らない」と述べている。



ザビエルが見た500年前の日本人と、現代の日本人は体質的にはまったく同じです。結局、健康に過ごしたければ粗食を基本としなければならないと思います。今度の芳医会(1月5日)では、心身症についての講演があります。タイムリーな内容であり、今から楽しみです。