2008年6月27日金曜日

3期の藤原先生の講演会に行って来ました

先日、ブログで紹介した3期の藤原先生の講演会が、6月26日に岡山大学で開かれたので行ってきました。


新しいがんの分子標的医薬品開発の試み
     ~国産ウイルス製剤の米国での臨床試験への道程~

岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科消化器・腫瘍外科学
遺伝子・細胞治療センター 准教授  藤原 俊義


内容は先日、新聞で報道されたTelomelysinに加え、p53遺伝子治療薬であるAdvexinの2つの遺伝子治療薬の話でした。

Advexinは1999年から非小細胞肺癌に対する第Ⅰ相試験が始まりましたが、試験が開始されるまでの苦労話を伺い、日本で新しいことを始める難しさを再認識するとともに、それをクリアしていった藤原先生の努力には頭が下がる思いでした。
http://www.cgct.jp/projects/03.html
Advexinは米国で臨床研究が進んでおり、頭頚部癌のオーファン・ドラッグとしてFDAに申請中とのことです。10年以上の努力が「遺伝子治療薬の市販」という形で報われることを祈っています。

もう一つのTelomelysinはがん細胞を不死化させるテロメラーゼががん細胞で高率に発現することを利用して、癌細胞内で選択的に増殖してがん細胞を破壊する腫瘍溶解ウイルスです。
http://www.cgct.jp/projects/09.html
こちらの臨床治験はAdvexinの経験が活かされて、ベンチャー企業を立ち上げて米国を中心として進行中との話でした。2006年8月にFDAから第Ⅰ相の認可が下りて、現時点であと4例で第Ⅰ相は終了するとのことで、日米の新薬開発のスピードの差を再認識させられました。
私が専門とする肝癌についても台湾の企業が開発に乗り出しており、中国の症例の多さを考えると早い時期に治療応用が可能になるかもしれないと思いました。

またTelomelysinに蛍光色素を付けることで診断薬に応用したテロメスキャンの話も転移の早期発見に役立つ可能性が高く興味深いものでした。
http://www.cgct.jp/projects/10.html

全体の話から、これからの大学での臨床研究の新しい流れを知ることができましたが、企業も含めた多くの人間が関わるプロジェクトになり、それを統括する医師にはマネジメント能力も要求されることがよくわかりました。

今回の講演内容も興味深かったですが、マネジメント能力をいかに身に付けたのか、機会があれば芳医会の講演会で伺いたいと思いました。

2008年6月16日月曜日

3期の藤原先生のお仕事が山陽新聞で紹介されました

3期の藤原先生(岡山大病院遺伝子・細胞治療センター)のお仕事が山陽新聞で紹介されました。



http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2008/05/30/2008053000583775001.html



がん細胞だけを死滅させるウイルス「テロメライシン」を使った米国での臨床試験で、末期がん患者の腫瘍が最大で34%縮小したとのことです。



来年には食道がんに対し、放射線や抗がん剤を併用して効果を確認する臨床試験に着手する予定とのことで、癌で困っている患者さんの朗報になればと期待しています。





2008年6月13日金曜日

4期の則安先生の講演会案内(岡山県の肝炎対策)

6月20日に4期の則安先生の講演会「岡山県の肝炎対策」がホテルグランヴィア岡山で開かれます。



今年4月からはウイルス肝炎に対するインターフェロン療法の医療費補助事業も始まっており、ウイルス肝炎についての関心が高まっています。



先日の肝臓学会でもウイルス肝炎、特にC型肝炎については新知見が多く発表されており、タイミングの良い時期の講演になると思います。



興味のある先生方は是非ご参加下さい。080620





2008年6月11日水曜日

3期の武智先生に会ってきました

先週、肝臓学会で松山を訪れた際に、同地で開業されている武智先生と約30年ぶりに再会しました。



奥様と透析医院を開業されており、多忙の日々を送られていますが、大変お元気で特にブログは充実したものになっています。再会した日の晩のことが写真入りで詳しく紹介されており私としては少々赤面モノですが、一度覗いてみてあげて下さい。



http://ulalaulala.jugem.jp/



2008年6月9日月曜日

肝臓学会(松山)に参加して

6月5日~6月6日にかけて松山で第44回日本肝臓学会が開催され、参加してきました。



C型肝炎、肝硬変、自己免疫性肝疾患、薬物性肝障害のセッションを聞いて来ました。



C型肝炎のセッションでは、現在、標準治療となっているペグインターフェロン+リバビリン併用療法について、ウイルス量の反応で72週にすべき症例の選択がかなり正確に行えるようになったこと、新規の抗ウイルス剤であるプロテアーゼ阻害剤・telaprevir (VX-950)の本格的な治験が今秋から開始になること、 高脂血症治療薬であるフルバスタチンの併用療法でウイルス消失率が上がってくることなどが報告されていました。



肝硬変については、脂肪性肝炎の症例が増加していることが注目され、肝癌合併例の1.6%、非合併例の2.7%が脂肪性肝炎であることがわかりました。



自己免疫性肝炎のセッションでは高齢者、男性、急性肝炎発症例といった非典型例が案外多く、薬物性肝障害との鑑別が難しい症例もあることが報告されていました。



薬物性肝障害のセッションでは最近10年を前後期に分けると、市販薬の頻度が高くなってきたこと(8.1%→10.9%)、アレルギー性機序を疑わせる好酸球陽性率が低下していること(31→24%)、症状を伴わない症例が増加していることがあげられていました。また、従来から診断に重要視されているリンパ球幼弱化試験の陽性率は36%であることがわかりました。